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平成20年6月1日付 朝日新聞の記事によせて(意見書ダイジェスト版)

柔道整復師の療養費委任払制度について

意見書(ダイジェスト版)
社団 JB日本接骨師会
会長 五十嵐 仁
会長代行 松原 伸行
専務常任理事(保険部長) 諸星 眞一
 本紙は、当会が平成20年 8月 5日に配布した” 柔道整復師の療養費委任払制度について ” (平成20年6月1日付 朝日新聞の記事によせて)という意見書のダイジェスト版です。全文をご講読されたい方は、こちらへアクセスして戴きますと全文を公開しております。
  • 1.問題提起

    1. 柔道整復師の療養費委任払制度は、多部位・濃厚治療の乱用が多いと指摘されている。それは、事実でしょうか。
    2. この問題は、療養費委任払制度の構造に関連しているのだろうか。
    3. 上記構造上に問題点があるとすれば、それは、どの部分であり、その解決策は何か。
    4. 私達は、この療養費委任払制度が不正請求の温床となっているという不当な誤解を解き、この制度は、その目的に適合したものにするための運用案を新たに提案する。
  • 本年 6月1日付 朝日新聞記事では、多部位問題を中心に取り上げ、厚生労働省が、今まで指導してきた、療養費委任払制度の運用のあり方を質そうとしてきております。

  • 2.前提考察

    1. 現行の保険医療制度は、柔道整復師の治療について、保険医療適格を与えていないことが、療養費委任払制度の考案になった。すなわち、国民的ニーズを受け、昭和11年より療養費に委任払い方式を付加することによって、保険医療に類する取扱いが行われるようになった。( 変則的保険医療適格 )  但し、上記は、法律上の制度ではなく、個別的な私法上の契約によって厚生労働省により運営されている。
    2. 柔道整復師の診療・治療は、行為の性質から見て、明らかに医療行為であるにもかかわらず医師法との関係でこれを医業類似行為と呼んでいるが、これが療養費委任払制度の運営にどのような心理的影響を与えているか。社会的に存在する医療行為(広義)は、医師のみが行っているものではない。また、多様な医療サービスを国民が受けられるシステムが、真の国民医療であるという視点から、柔道整復医療を見直すことが必要である。
  • 3.問題点

    1. 療養費委任払制度の構造が、その乱用の防止対策がとられていないことに、内在的な問題がある。
    2. 療養費委任払制度の適用を受ける柔道整復師治療の範囲・程度を決定する基準が充分でない。また、その基準が曖昧であり、時代にそぐわないようになっている。
    3. 上記柔道整復師治療の範囲・程度を事後的に審査する手続きについて、統一的審査システムが十全に構築されていない。
    4. 柔道整復師治療に関する療養費の額が、治療内容・時間と比較して低廉であること。
  • 4.対策

    上記問題を解決する対策として考えられる事項は、次の通りである。
      1. 乱用防止対策
        1. 柔道整復師療養費委任払い制度は、医師の医療保険制度と同じく出来るだけ患者の負担を少なくして、柔道整復師医療サービスを受けられるための制度であることを再確認すること(医師・柔道整復師のために保険医療・療養費委任払い制度があるのではありません)。
          1. 柔道整復診療・治療を5年以上行っている柔道整復師乃至3年以上の経験を有した保険医指定のある整形外科の下で、600時間(8時間×75日)以上療養費委任払制度乃至保険医療に従事していること
          2. 1,000時間(1日5時間×200日)以上の基礎的・応用的研修及び医療倫理研修を受講した柔道整復師
          上記二件の条件を充たした柔道整復師が、療養費委任払制度を取扱えるものとする。
        2. 柔道整復師の療養費委任払制度の対象とする柔道整復師の治療の範囲・程度に関する設定 個別契約者を団体規律に服させるため、社団法人 日本柔道整復師会乃至それと同程度の保険審査機構を持った団体に加入させ、そこを通し療養費委任払い申請を行うものとする。
        3. 内部の事後審査の統一的システムの構築 ―― 審査基準の設定
        4. 柔道整復師の療養費の額の合理化
      2. 療養費委任払制度をより良くするための対策
        1. 柔道整復師業界内にて、療養費委任払制度の統一化を図ること
        2. 柔道整復師免許更新制の採用

以上